カルチャーショック
外国に行くと感じるのは「カルチャーショック」である.先日雑談の中で,トロントに滞在してカルチャーショックを受けたことは?という質問を受けたが,私の答えは「実はあまり覚えていない」というものであった.すでに帰国して3か月目.以前の思いは忘却の彼方へ行ってしまったのだ・・・
仕方ないので,トロントへ到着した頃の日記を読み返してみた.到着して1月くらいはきちんと日記を書いていたのだ.しかしその後は,記録を付ける程度にしか書いていない(すでにこのあたりから,自分の三日坊主かげんがでている).ただ,毎日何を食べたか,という記録は取っていた.
トロントに行く直前,そして着いた日までは,どちらかといえば期待の方が大きかったように思う.もちろん,トロントで本当にやっていけるのだろうかという不安も感じてはいたが.この不安はもちろん,英語に自信がない状態でトロント入りしたことによるものである.到着した翌日にOISEの授業を観察させてもらいに行ったのだが,このいきなり一日中英語,という状態に,実のところかなり参ってしまったことも告白しなくてはならないだろう.
さて,何がそんなに日本と違ったのか,いきなりこう聞かれると,返事が意外と難しい.もちろん違うことはたくさんあったので,思いつくままに挙げてみよう.
言葉はもちろん違う.生活スタイルもかなり違う.4時半になったらさっさと帰るし.そういえば,U of TのContinuing Educationの英語の講座に通っていたのだが,その講師たちの生き方も,日本とは何か違うと感じた.私のクラスを見てくれたCathrineは,授業が昼までだと,昼から旦那さんと散歩に出かけたりするらしい.なんだかとても幸せそうだった.旦那さんが教室まで「家の鍵」を届けに来てくれたこともあったなぁ.
あと思いつくことと言えば,テレビのチャンネルが多い.これはよかった.iTunes Music Storeには多くの映像も売られている.CBCは自チャンネルの映像を惜しげもなくウェブで公開しているし,それどころか,オリンピックなどもウェブで中継していた.
たばこ.屋内での喫煙は厳しく規制されている.どれだけ寒くても,みんな飲み屋の外に出て震えながらたばこを吸っている.そこまでして吸いたいか?結局私は,トロントにいる間にたばこを(ほぼ)やめることとなった.
お酒.購入できる場所・時間が厳しく制限されている.日本のようにコンビニで買えたりしない.なので,夜に家でパーティーをしていて,盛り上がっても追加のビールやらなんやらを買いに行くことができない.
ポテトチップス.びっくりするくらい多くの種類が,そしてとてつもなく大きな袋に入って売られている.一押しはKettle Chipsだけど,少々油っぽい.薄くてぱりぱりとした食感のLay’sも良い.味は,定番の塩かSolt & Vinegarがおすすめと思う.Solt & Vinegarは日本にはすっぱムーチョくらいしかないのが残念だ.そういえばトロントニアンは,Fish and Chipsやいわゆるフライドポテトに,ビネガーをかけて食べる.これが結構いける.つい専用ビネガーを買って帰ってきた.
日本に戻ってきたときに感じるカルチャーショックもある.室内のライトが明るいこと.水が柔らかいこと,インターネットの回線速度が速いこと,CMで外国人といえば白人が多いこと.トロントはマルチカルチャーということもあって,どの人種も平等に出演していたように感じた.それから,テレビ番組のバラエティーに,(どうでもよい)ゲストがたくさん出演していて,いろいろとコメントをしていること.たとえば「衝撃の瞬間」みたいな番組がある.カナダでやっていた番組(Destroyed in Seconds)では,司会役が一人いるものの,途中で芸人のトークなんていうものはなく,ひたすら衝撃の瞬間を映し続けていた.なので,日本の番組を見て,「君たちのトークはいいから次見せてくれ〜」と思うことがしばしばある.
でも,帰国して3か月もするとそういう類の違和感もやわらぎ,戸惑いは忘れ去られてしまう.まあ,人間は忘れる生き物であるから,いいのだ,と自己を正当化しつつ,それだったら記録だけでもしておかなければなぁ.と,真っ白な日記帳を前に三日坊主は感じるのである.
ちなみに,名古屋から札幌に移ってきたときも結構ショックが大きかったように思う.その経験がある+外国だから身構えていたために,トロントではそれほどショックを引きずらずにいられたのかもしれない.