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2010年度 日本教育工学会 冬の合宿研究会のお知らせ

下記のとおり,来年2月19日,20日と,日本教育工学会(JSET)の冬の合宿研究会が行われます.私が開催担当を仰せつかっていることもあって,テーマを質的研究に設定しました.今日の時点で,定員まであと10名ちょっととなっています.ぜひ早めのお申し込みをお願いいたします.10月末までは学会員のみの申し込みとなっていますので,これを機にJSETに入会するのも良いかもしれませんね.


テーマ「質的データを分析しよう! -質的研究におけるデータ分析入門-」

 近年,教育工学の分野においても,質的な研究手法を用いた研究が増えてきました.質的研究手法は,量的研究手法のように仮説検証を目的とはせず,観察やインタビューなどで得られた質的なデータを,その個別性や具体性に即して分析し,その事象に内在する意味を明らかにしようとする手法です.
 質的研究は,現象学や社会的構成主義などの多様な思想的背景を有しており,グラウンデッド・セオリー・アプローチやエスノメソドロジーなどの多様な手法が存在しています.質的研究ハンドブック(北大路書房,2006年)の第3巻編訳者はしがきには,「そもそも質的研究の諸手法は,目的や対象などの条件によって1つに決定されるような,定式的なものではなく,その点で量的研究にとっての統計学的手法とは大きく異なっている.研究者は,豊かに発展を続ける諸手法から,個々の研究の現実に応じて手法を選択し,それをアレンジするだけでなく,時にはそれらを参考に新たな手法を案出しながら,それを創造的かつ柔軟に適用していかなければなら」ない,と書かれています.つまり,質的研究のデータ収集やデータ分析に関して,いわゆる「ハウツー」は存在しない,と言えます.
 しかしこのことが,質的研究に取り組む際の高い障壁になっていることも事実です.ですから,とくに初学者にとって,まず基本的なデータ分析手法について知り,それらの手法をある程度使えるようにしておくことが必要です.そのため本合宿研究会では,講演などを通して質的研究について理解を深めるだけでなく,初学者でも利用しやすい質的データ分析手法「SCAT」を用いて,実際にデータの分析にも挑戦する予定です.質的研究に初めて触れる方だけでなく,すでに質的研究を行っている方にとっても,有意義な合宿研究会にしたいと思います.美しい雪景色の札幌で,みなさまとお会いできるのを楽しみにしています.

期日:2011年2月19日(土)14:00 ~ 20日(日)12:00
会場チサンホテル札幌(札幌市中央区北二条西2-9)

  • JR札幌駅南口,札幌市営地下鉄さっぽろ駅・大通駅より徒歩5分.
  • 新千歳空港からは,JRの快速電車を利用すれば40分程度で札幌駅に到着します.

対象:質的研究に興味のある研究者,学生等
定員:30名(定員になり次第締め切ります)

  • こちらよりお申し込みください.
  • 10月末までは学会員のみ参加申し込みが可能です.それまでに定員に達しなかった場合,11月1日より非会員の参加申し込みも受け付けます.

参加費:12,500円(予定,1泊2食付き(夕朝)です)
開催担当/問い合わせ先:金子大輔(北星学園大学)

■プログラム(予定)
【一日目】2月19日(土)
基調講演:大谷 尚(名古屋大学大学院 教育発達科学研究科 教授)
この後,SCATを用いたデータ分析に関するワークショップなどを行います.
【二日目】2月20日(日)
1日目に引き続きワークショップなどを行い,最後に全体でのリフレクションを行います.
※なお,SCATについてはこのサイトをご覧ください.

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