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日本教育工学会シンポジウムに参加

16日,東工大で行われたJSETのシンポジウムに参加してきました.私は企画委員なので,朝から準備をしたり,記録をとる補助をしたり,会場でマイクを持って走ったりしていました.

さて,今回のシンポは午前(高等教育)と午後(初等中等教育)で大きくわけられていて,午前のテーマは「高等教育とICT」,午後のテーマは「「教育の情報化ビジョン」と教育工学」というものでした.

仕事をしながら,記録をとりながらだったので吟味しながらシンポを聞けたわけではないのですが,いろいろと思うこともありました.個人的には午前の部は,オープンエデュケーションの最新事情を聞けたことが収穫でした.

今後高等教育に関わるものにとって,OER(Open Education Resource)をどう利用するか,これは教員個人の問題としても,大学の戦略としても大変重要になってくるように感じます.個人で使う分には,重田先生(東京大)が指摘する「”さまよえるコンテンツ”でもいいじゃないか,最初は」と感じていますが,大学全体の戦略として位置づけると,それではちょっとやっていけませんよね・・・とりあえず,自分の勉強のためにいろいろ使ってみたいなぁと漠然と考えています.

あと権利処理って本当に難しいと感じました(ソフトウェア基礎の授業でも感じますが).ここが,OERが普及する上での一番の障害となることは間違いないでしょう.たまに,シンポでもなんでも全部中継すればいいんだ,という人がいます.それはそれでいいのですが,中継を前提としたものと,そうでないものとでは,中身は変わってきますよね.私は(せっかく現場まで交通費を出して行くのだから)中継を前提としたときには見られないもの,聞けないことを見聞きしたいです.

また,阪井先生(明治大)がおっしゃったことですが,「PDCAサイクルは改善を目指すものであり革新を生み出さない」という指摘にははっとさせられました.

総会を挟んで,午後は元文部科学副大臣の鈴木寛先生,山西先生(富山大),東原先生(信州大)の3名が登壇してのシンポジウムでした.終了時間の午後4時を越えてからのディスカッションが急激に(?)盛り上がって,すごくおもしろかったです.

私たち研究者から見れば,どうして「政治家は何も変えてくれないんだろう」と思うことが多いのですが,鈴木先生は,変えたいのであれば,教育とかICTとかを大切にする国会議員を360名以上に増やすしかない.そして,消費税やTPPのようにメディアに「問題」として取り上げられなければ,国会議員も動かない(選挙対策ですね).そのためには知的ロビー活動が必要だ,ともおっしゃいました.

最後の方の発言では,とにかくまずGP的にがんがんやるところを作って,エビデンスを出す.その「証拠」を元に論理をもって攻め込む.確固たる一つのモデル,プラクティスを作ることと,そのことをアカデミックなフレームワークで分析し,問い続けることで,知的な情報提供・政策提言をお願いしたいとのことでした.

戦う教育工学(笑)ですね.登壇者の先生方,指定討論者の永野先生いずれも「戦う」ことを宣言しておられました.

このブログを最初に立ち上げたときにも書いたのですが,どういう形であれ,私たち研究者が一定の情報提供や提言をする必要が,やっぱりあるのだろうと思います.つい,日々の生活に追われ,政治とは距離を置いていたいという気持ちもあり,提言なんて大それたことできないよ,と思うこともあるのですが,今後,少しずつでいいので,こうして自分の考えを(ブログではありますが)世の中に問うていければな,と考えています.

というわけで,まだ記憶の新鮮なうちに,こうしてブログの記事を書いたのでした.


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